さらば、わが愛〜覇王別姫 FAREWELL TO MY CONCUBINE
京劇「覇王別姫」を軸に、役者である二人の男の愛憎を描く大作。
幼い頃に遊女の母に捨てられ、京劇役者の養成所に入れられた小豆。厳しい訓練が続くが、本当の弟のようにかばってくれる石頭を心の支えにして、二人は成長していく。やがて京劇のトップスターになった二人だが、役のみならず実生活でも石頭を愛してしまう小豆。しかし、石頭には菊仙という恋人ができてしまう――。
子供の頃のひたむきで純粋な交流が美しかっただけに、大人になってからはいきなり違和感が。でも、女形の程蝶衣(小豆)を演じるレスリー・チャンの美しいこと! あっという間に引き込まれてしまいました。女以上に美しい男ってどうよ?(笑)それと比べると蝶衣に思われる段小樓(石頭)は微妙にダメ男で……げふんげふん。約3時間の大作ですが、最後まで飽きずに見られました。
その美しさゆえに、男たちの欲望の犠牲になってしまう蝶衣。それゆえか、小樓への思いはますます募っていくけれど、小樓は異性愛者であり、蝶衣のことは共演者・可愛い弟分以上には思えない――。そこが切ないのです。
蝶衣は菊仙に嫉妬と憎しみを燃やします。始めは菊仙のことを「計算高い女だなー」と思っていた私ですが、周囲から売国奴呼ばわりされて弱ってしまった蝶衣をいたわる彼女には、強さと優しさが感じられました。
菊仙、結構好きですよ。彼女は彼女なりに、必死に生きていたのだと思います。
でも蝶衣は、もと遊女である菊仙に自分を捨てた母を重ねているのか、ある瞬間に憎しみの炎を燃え上がらせてしまう。それが原因で、蝶衣・小樓・菊仙の関係に一気に亀裂が走ってしまうのです。
京劇って、日本では歌舞伎に相当する伝統文化なのかなーと漠然と思っていたのですが、国や時代によってはずいぶん扱いが違ってしまうものなのですね。文化大革命は、世界史の授業でちらっと触れた程度だったのですが、あんなにむごいものだったとは思わなかった。革命側からすると、京劇は旧体制の象徴そのものだったのでしょうか。
時代、といえば。京劇の養成所の訓練はあまりにもむごすぎる。今だったら、絶対児童虐待であちこちから非難の声があがりそうだなー。現代の訓練はどんな風にやっているんだろうと、ちょっと気になってしまいました(まさか今はあそこまでやってないだろう・苦笑)。
最後に、レスリー・チャンの冥福を心からお祈りします。
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